カーAV評論家・会田肇氏が最新のカーナビをムービーで徹底解説。
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    第2話 北陸 新潟・富山篇(2)
    日本一?のアマエビは、まるでゼリーのようだった。

■黒部漁港(富山県黒部市)
 こんないい加減な道具でこんなに釣れていいものか。
※画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。

 朝日町から西へ20km弱、黒部の魚市場は“黒部市水産物地方卸売市場”が正式名で、黒部市生地(いくじ)の黒部漁港に隣接する。
 床に茹でられた真っ赤なエチゼンガニがずらりと並べば、一方でガンギエイやクロソイなど北方の魚たちがモノクロの世界を成す。それらを仲買人たちが取り囲み、数字らしき言葉を叫んでいる。
 商談成立と見れば、次の塊へぞろぞろと移動。小さなオバチャンも男衆に混じりながらも、シロガレイやハタハタの箱を競り落としている。

 人混みをすり抜けて外へ出ると、さして大きくはない漁港があって、釣りをしている人がいた。
 見るからに、いい加減な釣りである。そこいらにあった竹竿に糸を結んだような、小さな棒浮きも横に寝たままでやる気がない。その浮きがツンッと立ったかと思うと、ククッと沈んだ。竿は弓なりとなって、糸は水面に突き刺さる。大きい…・!

 「畑の肥料だよ、トマトの餌だ。ハハハ」
 40cmを超すウグイに似た魚を釣り人はユゴイと言ったが、これはマルタである。マルタは気水域から港にも生息するというが、これほど群れているとは驚きだ。
 蓋付きの大きなポリバケツがあって、のぞき込めばすでに半分ほど埋まっている。その前で、また竿が弓なりになっているのだ。

 「オジチャン、竿貸してよ」
 で、久しぶりに釣り竿の感触。クロダイ釣りで鍛えた腕の見せどころ…と、つい真顔になっている。ククッ、ツンッで、手応えじゅうぶん。ひとしきり暴れるのを竿のしなりで凌いで、水面に口を開ければ玉網へ誘導するのも難はない。いい加減な釣りは、おもしろ〜ぃ! オレはなぜか、北陸の魚市場で釣りをしているよ。

■浦本漁港(新潟県糸魚川市)
  アマエビ漁に沸き刺し網漁に泣く、時化明けの漁師たち。

 昨日寄った、時化明けの能生漁港が気になって、親不知子不知を観ながら国道8号を引き返す。
 翡翠(ヒスイ)の産出地として有名な姫川を越えると糸魚川市能生町だが、手前に気になる漁港を発見。工業地帯に漁船が集まっていて、板張りの魚市場も見える。近寄ればアマエビの水揚げ真っ最中で、真っ赤な景色が目に飛び込んでくる。小さな漁港なのに、人も魚もひしめき合っている。上越漁協浦本支所とある。

 「食べてごらんなさいよ、浦本のアマエビは日本一よ」
 元気なオバチャンたちは、荷揚げの力仕事をしながら愉快である。「大」と書かれた箱はさすがに遠慮して、「中」と書かれた箱から旅人はアマエビを1匹いただいた。
 頭をむしって胴体は殻ごと口に入れてチューと吸う。吸えない・・身が堅くて吸えないのだ。やむなく殻をむしり取って、あんぐり。甘ぁ〜い、コリコリとして甘い。これって、アマエビ? 今まで食べていたアマエビは、何だったの〜!? 
 地元人に妙な顔をされながらも、食いちぎった跡を見つめる。日本一のアマエビは白色ではなく、透き通った甘ぁ〜いゼリーだった。

 刺し網から魚を外している漁師たちがいて、漂う空気が重く沈黙している。刺し網ですか? 聞くと、船頭らしき人が怒り混じりに口を開いた。
 「昨日は時化で、網を揚げられんかったで…」
 足元には半分腐りかけた名も知らない魚たちが、漁網からむしり取られて山になっている。メイタガレイやアンコウなどの高級魚も見えるが、どれも腹から腐敗しているのだろう。日本海とはいえ夏の水温、網に掛かった魚は半日ももたない。

 刺し網漁は魚を追いかける苦労はないが、仕掛けをあげるタイミングがものをいう。だから、海に出られない時化は辛い。家族総出の魚外しは、どっちにしても半日仕事。
 時化後でアマエビが大漁の漁師もいれば、涙を飲む漁師もいる。今日の刺し網漁は、傷ついて汚れた網だけが残った。

■能生漁港(新潟県上越市能生町)
  観光客を相手にしない魚市場は、人も魚も真っ正直。

 「また、来いよ」
 刺し網漁師の元気な声に、逆に励まされて浦本港を後にした。
 能生漁港に着くと、やはり時化の後の昨日とはうって変わった風景である。のんびりと網を修理する漁師の姿はそこにはない。何台もの大型輸送トラックが居並び、加藤水産の軽トラもその横に見える。競りをする勇ましい声が外に聞こえると、足は自然にそちらへと早まっていった。

 この、懐かしい感覚はなんだろう。そうだ、祭囃子・・。子供の頃、神社の境内へと急いだ石段の思い出が、なぜか蘇る。場内に踏み込めば、我ながらその予感に納得。
 黄色い電球が目が眩むほど光を放ち、それらが床に広がった魚たちに反射している。ハチメ(メバル)の入った箱がずっと向こうまで広がって、こっちの列は天然モンと言わんばかりに白い腹を見せるヒラメの箱(navi 養殖のヒラメは赤味がかっている)。
 床も箱も人も魚もキラキラと輝いて、人声は何やら念仏を唱えているようにけだるく場内にこだましている。

 「いよ、来たか」
 加藤水産のオヤジはキャップ帽を後ろ手にかぶり、目つきが鋭くなって別人のよう。女将さんも台車に山積みの魚を運んだり、走ったり、叫んだり。町の魚屋とは思えない山積みの仕入れは、どれも釣りもののマダイや活ヒラメなど超高価モン。
「東京へ送るんだよ、地元じゃ使いきれんよ」
 そうか、東京に得意先を持っているのか。日本中どこへ行っても、地元の旨い魚は都会へ流れて行ってしまうのだなぁ。

 競り声が響く中を散策すれば、グタリとしたアンコウは33kg、もちろん天然のトラフグが1匹で4.5kg。不思議な7.7kgを見つけて近寄れば、何とミズダコの頭だけである。足は別に2本ずつ箱に入っていて、全体では?何kgだぁ!
 能生漁港は一見の価値あり、ただし漁があるとないでは別世界。観光客を相手にしない魚市場は、人も魚も真っ正直。漁港ぶらり旅は、やはり引き返して大正解だった。

navi 加藤水産:新潟県糸魚川市大字能生7158-1 Tel:025(566)2041

黒部市ホームページ http://www.city.kurobe.toyama.jp/

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