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にっぽん漁港紀行
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第3話 関東 神奈川県三浦半島篇(1)
湘南、鎌倉に背を向け、三浦半島を南に下る旅。
■小坪漁港(神奈川県逗子市)
有名リゾートの片隅に市場のような魚屋発見。
※画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。
古都鎌倉を代表する、鶴ヶ丘八幡宮。海へと向かう直線道路は、通称を段葛(だんかずら)。2車線は段葛の遊歩道で2分され、桜の季節ともなれば左右の大渋滞を尻目にそぞろ歩く人の波。鎌倉では人も車も、なかなか前に進めない。
平日の渋滞は鶴ヶ丘八幡宮前をピークに鎌倉駅前辺りで緩やかに流れ出し、やがて車窓が風を切り始めると前方に相模湾が広がる。この間約2km、T字路の信号、「滑川(なめりかわ)」で、湘南を貫く国道134号線にぶつかる。右側が由比ヶ浜で茅ヶ崎方面へ、左側は材木座海岸で葉山から三浦半島へと伸びていく。
漁港巡りのドライブには湘南の風より、ローカル臭漂う左方面がよく似合う。秋空に浮かぶ富士山を背に、三浦半島の海岸線を走ってみよう。
右手にウインドサーファーがひしめく材木座海岸を過ぎると、ほどなく短いトンネルを抜ける。
そのあたりが小坪で、文字通り小さな漁港もある。専業漁師もいるが遊漁船と魚屋が目立ち、サンタモニカ風の有名なリゾート、逗子マリーナも隣にある。
ここへ寄るには、R134からは行けない。国道の1本内側の道に入り、逗子マリーナを抜けて行く。
小坪漁港の見所は、やはり港の目の前にある、一見市場ふうの魚屋「亀鶴水産」だろう。地魚ばかりとは言えないが、時には新鮮極安モンの、例えば地のカワハギなどをゲットできる。ただし、店のお姉さん達の乱暴な言葉にひるんではいけない。
「亀鶴水産」のさらに奥、道端に小さなシラス屋「まるき丸」がある。シラスが揚がった日は朝の10時頃から小さな店頭に生シラスも出る。スーパーにあるような身のクタッとした生シラスとはわけが違う。お試しあれ。ただし、1月から3月までは禁漁。
「逗子マリーナ」:逗子市小坪5-23-9 Tel:0467-23-2111
「まるき丸」:逗子市小坪4-10-10 Tel:0467-25-2898
■鐙摺漁港(神奈川県三浦郡葉山町)
港の食堂は首都圏のオアシス。
R134を走って小坪を過ぎるともう一つやや長いトンネルがあり、抜けたところが逗子湾だ。鎌倉の湾に比べると、こじんまりと落ち着いて見える。
左手に何軒かファミリーレストランが軒を並べるが、その中の一つ、藍屋の前身は大正15年創業、平成元年に閉鎖した「渚ホテル」。江藤淳、伊集院静香ら著名作家の作品にも頻繁に登場する由緒あるホテルだったが、今はモニュメントとして残された時計がわずかに面影を伝えるだけ。
藍屋を過ぎると、ほどなく渚橋の信号にぶつかる。右折すれば海づたいに三浦半島へ、直進は逗葉新道経由で横浜横須賀道路の逗子ICだ。
意気込んで海回りを走り出してすぐに、「鐙摺漁港入り口」の信号が。鐙摺はアブズリと読み、鎌倉時代にここを馬に乗って通った源頼朝の鐙(あぶみ)が摺れるほど道が険しく狭かったことに由来する。近年「あぶずる」と表記する官報誌もあるが、地元の人は声を揃えて「あぶずり」と主張している。
鐙摺も例に漏れず、遊漁船の漁港である。釣り客なくして首都圏の漁業はやってはいけない、これが現実の姿ではある。
しかしながら、この漁港の真ん前、漁師や釣り客が集う「あぶずり食堂」は嬉しいオアシス。目玉焼き180円、朝定食450円。名物、のっけかけ850円の豪快さ。のっけかけとは、ご飯の上にカツを乗せ、その上にカレーかける、乗っけてかけるカツカレーの1種。そのボリュームもさることながら、昔懐かしいカレーライスの味に涙すること請け合いだ。
ここでは朝からビールも珍しくない、むしろ堂々といける。かあちゃんに運転を代わって、どっぷり落ち着きたくなる気持ちはわかるが、営業時間は平日はAM10時半〜PM2時半まで、4月から11月までの土日は8朝から3時まで。定休日はない。
「あぶずり食堂」:三浦郡葉山町堀内 Tel:046-875-1969
■真名瀬漁港(神奈川県三浦郡葉山町)
お土産はビーサンと釜揚げシラスで決まり!
海岸線を走る道は狭いままさらに曲がりくねり、そこを大型バスが窮屈そうに走っている。鐙摺漁港から1kmも行かないうち、道の左側に店頭にカラフルなビーサンやらTシャツが並ぶ、町の洋品店らしきが見えてくる。知る人ぞ知るか「げんべい」で、今や地元一帯はおろかアメリカ西海岸でも「げんべいさんのビーサン」で通用するんだそうな。
究極の狭いカーブを抜けると、右手が開けて真名瀬(しんなせ)漁港。一帯は埋め立て地だが、ここから見る相模湾は絶景として知られる。青い海原には、一番手前に漁港すぐ沖にある名島の赤い鳥居、その向こうに江ノ島がどっかりと浮かび、天空はるかに富士山がそびえる。これを見慣れた地元の人は、名島の手前に立つ白い裕次郎灯台(石原裕次郎の三周忌を記念して1989年にできた)が、今だになかなか見慣れないのだそうだ。
真名瀬も遊漁船の漁港だが、ゆうしげ丸はシラス漁もする。釜揚げシラスの500円パックならば、家族で十分楽しめる。
真名瀬漁港を後に海岸線に沿って南に1kmほど走ると、またR134に合流して信号は「葉山御用邸前」。右側のこんもりとした森が、葉山御用邸だ。左角には山田ボートがあって、ボート釣りをする人たちはここで受付をする。
御用邸から国道はやや上り坂となり、視界が開けた頂上が長者ヶ崎。ここから見る富士山がまた絶景。有料だが広い駐車場があって、土産物屋なども並んでいる。その入り口付近に「ラーメン」なる旗がかかった池沢物産店がある。駄菓子屋のような店なのに、ここのラーメンは、旨い。昔懐かしい、シナソバの味がするのだ。ラーメンを一杯食えば、駐車代はタダになる!
長者ヶ崎を越えると、住所は三浦郡葉山町から横須賀市に変わる。三浦半島が前方にかすんでいる。どんな漁港がオレを待っているのか。深呼吸して潮風を胸いっぱいに吸い込み、また走り出す。
「ゆうしげ丸」:三浦郡葉山町一色2511-80 Tel:046-875-5525
「池沢物産店」:三浦郡葉山町下山口2051 Tel:046-875-1720
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