| 第5話 関東 神奈川県三浦半島篇(3) |
| 野菜も魚も鮮度が命、獲れたてにはかなわない! |
佐島湾をグルリと巡って、「佐島入り口」の信号で再びR134へ。右方向に進めば国道は一路三浦半島南端へ。ここで、漁港ではないが、気になる所へちょっと寄り道を。信号を左折してすぐ次の信号を右折すると、道は山間に入っていく。右手にビニールハウスの大きな植木屋があって、鉢植えの花、野菜の苗が所狭しと並ぶ。 ほどなく前方に「安田農場・アトム卵」の看板。それを目印に農道を左折すると、養鶏場が見えてくる。農家直営の売店で売られている鶏卵は、青白いものから赤茶けたものまで様々。白色レグフォンやアローカナ種、ウコッケイなどの卵だという。これらを総称してアトム卵と呼ぶが、鉄分を強化した穀物餌料を与えているから鉄腕アトムである(笑)。 いや、笑ってなどいられない。茶碗に割ってみればわかる、濃い橙色の黄身がまん丸く盛り上がり、白身だって流れてなんかいない。これで卵かけご飯をほうばれば、何だか力がみなぎって、やっぱりアトムなのだ。だが、安田農場で食すべきは、実はこの鶏卵だけではない。化学肥料を使わず、総数12000羽が排出する鶏糞で作る元気な野菜も、一食の価値あり。見慣れた青首ダイコンも、その瑞々しさはまるで別物。野菜だって一口かじれば鮮度が命、穫れたてにはかなわないと納得だ。新鮮な野菜は、すべからく甘いのである。 ハクサイにも、漬け物用には山東ハクサイ。鍋用には、オレンジハクサイがあると知った。春キャベツは、ずっしり重く葉を広げて100円。ハクサイだってkg当たり150円だ。畑の直売は、安い ! 旨い ! http://kanagawa.lin.go.jp/gourmet/tamago/yasuda.htm
道草を終えて、R134を再び南下。湾を埋め立てた右手は、研究所や病院、自衛隊の武山駐屯地などが広がる。まもなく直線道路は「林交差点」で左右に分かれ、左方向は衣笠経由横須賀へ。クルマは右方向の三浦半島南端、つまり三崎方向を目指す。そこから1kmちょっとで「荒崎入り口」の信号。右折して国道を外れると、住宅地の中を走る道はやがてT字路にぶつかる。そこが長井漁港である。 長井漁港は、三浦半島では相模湾に面した主要な漁港であり、サバやマイワシなどの大型巻き網船などが水揚げをする。漁港の市場では、午後4時ころから入札が始まる(築地市場が休場日の前日は休み)。仲買人が真剣顔で魚を値踏みする風景など、遠巻きに見学するのもおもしろい。 大きな漁港には往々にして商社が参入しているもので、長井水産(株)もその1つ。大型巻き網船の漁獲は、実はすべて商社買いである。魚は流れ作業で箱詰めされ、待ちかまえた大型トラックに積まれて築地市場などへと急ぐ。「食堂で、メシ食って行けよ」 長井水産の宍戸部長が、思いがけず社員食堂へ案内してくれた。聞けば昼定食はどれも500円で、誰でも入って食べられるんだそうな。 大鍋にはワカメの茎が煮付けられ、隣りの大皿には魚フライも大ざっぱに盛られている。 「アンタ、何が欲しいの」 肝っ玉母さん風が厨房から出てきて、すっかり気分も和む。どうやら、お好みをトッピングしてくれるようだ。 漁港の2階から海を眺めて選んだのは、サバの味噌煮定食。いま見てきたサバを味噌煮で食う。これが、本当の「市場食堂」の姿だ。サバの腹身を噛みしめると、上質な脂が舌の上に流れ出してきた。長井漁港の先に続く細い海岸線の道は、荒崎(あらさき)で行き止まりとなる。手前の「荒井漁港」や「漆山(うるしやま)漁港」は昔ながらの小漁港で、養殖昆布を干している漁師もいれば、刺し網から魚を外す老夫婦もいた。日差しはまだ力なく、北西の風が容赦なく肌を刺す。 「半農半漁で食べてきたんです…」 ほおかむりの奥の目が、寒さに潤んで見えた。 http://www.nagaisuisan.co.jp/index.htm
荒崎まで来た道をR134まで戻って、再び三浦半島南下を再開。この辺りから、道の両側に大根やキャベツなどの広大な畑が広がりだす。初声(はつせ)という小さな集落を過ぎると国道は上り坂となり、左手には京浜急行の終着駅「三崎口(みさきぐち)」。その先の信号が「引橋(ひきはし)」。R134はここで左に折れて三浦海岸へと下っていく。 右方向が三崎に向かう県道26号で、三崎漁港まで町中の道が続く。今日は途中の「油つぼ入口」の信号を右折して、三崎まで海岸線を走ってみよう。 「油つぼ入口」から折れた道の突き当たりは水族館のある「油壺マリンパーク」だが、信号からほんの500m、右手の郵便局を過ぎたところ、名前のない信号を下るように左折する。下った先が「油壷湾」の小さな入り江で、「油壺ヨットハーバー」や「京急油壺マリーナ」には白いヨットが静かに舫われている。曲がり道をなおも進むと、棘の異常に長いサザエが獲れるので有名な二町屋(ふたまちや)漁港があり、そこを過ぎればもう三崎漁港だ。 三崎漁港の魚市場は、朝9時前ならばまだ活気が残っているはず。入り口付近には地魚(アジ・イワシ・サバなどの近海もの)が水揚げされて、漁師や仲買い人などがごった返して入札をしている。その奥では冷凍マグロが床一面に並んで、ここでは競りが行なわれている。ゆっくり見学するなら、2階から見下せるよう見学場もできている。 腹がへったら、市場の2階に「まぐろ屋食堂」があり、朝早くから、海を見ながらメシが食える。店長自慢のマグロ丼1100円は、軽くヅケになった中トロがたっぷりで、思わずがっついてしまう。だがここのお薦めは、マグロかま煮! 時価(この日は1500円)なのだが、とても1人じゃ食いきれない。脂がのったカマ下の部分が、こってりと醤油色に煮詰まって、脂の粒が流れ出ている。クルマじゃなければ、ビール!と叫びたい。 営業時間:平日 5時〜14時 土日祭 5時〜15時 定休日:主に水曜日 漁港の手前のテント村で毎日曜日に朝市が立つ。夜明け前の午前4時頃から開店準備が始まり、朝の7時ともなれば店じまいするところもある。人気はやはりマグロで、中トロ1サク1000円などを客が奪い合っている。新鮮野菜や1個で両手いっぱいのマグロの目玉500円などが、裸電球の下でギラギラと輝いている。 にわか造りの蕎麦屋もあって、マグロ天ぷら蕎麦が350円だって。人々が遠くから早起きしてやってくるのも、うなずける。 http://www.misakiasaichi.com 陽が高くなったら、地魚を扱う「まるいち鮮魚店」がおもしろい。魚市場からは大きな埠頭をひとつ挟んだ向こう側、住宅地の旧道沿いにある。この魚屋を薦める理由は、一般には商品として扱われることのない磯モン(カメノテやフジツボなど)が手に入るからだ。例えばショウジンガニ(地元ではショッペガニという)を並べて、つぶして味噌汁にする食べ方まで、丁寧に教えてくれる。マグロの胃袋や卵なども、数百円で売っている。 筆者は店先の道端に干されている干物を、行けば何枚か買うことにしている。小アジでも丁寧に開かれて、絶妙な塩加減なのだ。獲れたての証拠は、焼けばわかる。身がキツネ色になると、ふっくらと厚みを増してイナバウアをする。 三崎から橋一つ渡ればそこは三浦半島の突端、城ヶ島。一方の対岸、房総半島南端、洲崎との間には内面積1320平方キロメートルの東京湾が横たわる。海岸線にはまだまだ“うめぇモン”がある。http://www.misakimaruichiuoten.com |
佐島湾をグルリと巡って、「佐島入り口」の信号で再びR134へ。右方向に進めば国道は一路三浦半島南端へ。ここで、漁港ではないが、気になる所へちょっと寄り道を。












