カーAV評論家・会田肇氏が最新のカーナビをムービーで徹底解説。
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    第6話 関東 神奈川県三浦半島篇(4)
    フキノトウ、ハバノリ、ワカメ…。冬から春への三浦半島。

■宮川湾(神奈川県三浦市宮川町)
  磯を丸ごとかじっているような「ハバノリ定食」の豪快さ。
※画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。

map  城ヶ島大橋の下をくぐって三崎を後にする。県道は26号から215号に変わり、狭い道路はくねくねとカーブしながら、しばらく住宅地の中を登る。さらに、車がやっと1台通れるくらいの急坂が続き、突然視界が開ける。そこが「宮川湾」である。
 暖かい日差しが降り注ぎ、時間が止まったように静かだ。ヨットハーバーやキャンプ場もあるが、平日のこととてほとんど人影がない。湾を真正面にして「まるよし食堂」の暖簾が、日向ぼっこのように揺れていた。

「あら、いらっしゃい。お一人?」
 店はオバチャンと、オバアチャンとで切り盛り。にこやかで可愛いお二人は、目の前の宮川湾のように穏やかである。
 筆者は、この店の常連である。冬から初春に荒磯で採れる、ハバノリという海藻を出す数少ない店だ。ハバノリは味と香りにおいて、非常に硬派な海苔である。おにぎりにするアサクサノリや、アオノリを想像してはいけない。ハバノリの、磯を丸ごとかじっているような磯臭さは、海の男にでもなったような、高らかに笑いたくなる「豪快な男の味」なのだ。

 オバチャン自ら採ってきたハバノリは、生の状態では茶褐色。刻んでで干し上げると暗緑色となり、それを軽く炙ると鮮やかな緑色になる。暖かいご飯の上で揉みほぐすのだが、粉々にしてはいけない。粗っぽくざっくりとほぐして、ご飯にかけるのがコツ。しょう油を少々かけて、いただきます!
 ご飯の湯気が、磯の香りを持ち上げてくる。たまらず大口を開けると、粉状になったハバノリがのど奥にひっついてむせるので注意。ほろ苦さが残る磯香が、ご飯の甘味と絡まって喉に落ちていく。残り香を楽しみながら目の前の海を見やれば、ハバノリの磯が広がっているのだ。

 「ハバノリ定食」1000円は、夏ごろまで在庫があるが、それ以降の保証はない。「青ノリ段々定食」1000円は、磯香の初心者にはお薦め。他にも、漁師が獲ってきたばかりのメバルやカサゴなどを使った定食も1000円。どれもみそ汁や季節の小鉢が付いて、満足感は十分にある。
 「まるよし食堂」は民宿もやっているが、客の姿を見たことがない。ちなみに、食堂には筆者が書いた本が数冊置いてある。


navi 「まるよし食堂」:三浦市宮川町11の30 Tel:046-882-3579 定休日なし

■江奈湾松輪漁港(神奈川県三浦市南下浦町)
  有名な「松輪のサバ」の産地は潔く素通り!
 宮川湾を後にすると、ほどなく県道215号線は畑道となり、「毘沙門湾」へと下っていく。2qほどの海岸線は険しいリアス式となっていて、通称「盗人狩り」と呼ばれる。毘沙門を過ぎるとまた畑道となって、土息れは既に春の匂い。クルマを降りて土手を見れば、やっぱりあったフキノトウ。ひとつポケットに入れて、今宵は「フキ味噌」で一杯と、気分はルンルン。

 次に見える海は「江奈湾」、その奥に「松輪漁港」がある。松輪と言えば、一本釣りの高級マサバが有名だ。サバは「サバの生き腐れ」と呼ばれるほど、鮮度の落ちが早い。松輪サバを有名にしたのは、1匹ずつ丁寧に釣り上げ、その場で活け締めして出荷したから。瀬戸内の「明石サバ」と同じ方法だが、関東でも一気に市場の支持を得てしまった。

 付近で松輪サバを食べさせる店は、国道添いにある「みうら漁業協同組合松輪支所」直営江奈ヴィレッジ2階の市場食堂「松輪」か。各種の刺し身定食が1500円ほどからあるが、筆者の評価は残念ながら低い。海を目の前にした絶景で、休日ともなれば家族連れが行列をなすも、割高感と裏切られた感が残る。
 例えば、アジの頭と中骨が姿に飾られているのに、アジの身が無い!のだ。駐車場に隣接する漁師直営の魚屋も、決して安くはない。ここは漁港に直行して、近海キンメの水揚げなどを見て帰る方が賢いかもしれない。


navi 「松輪」:三浦市南下浦町松輪264 エナビレッジ2階 Tel:046-886-1767 定休日:火曜日 営業時間:11時〜16時

■金田港(神奈川県三浦市南下浦町)
  山かけ丼ならぬ「海かけ丼」とは?
 松輪を過ぎてすぐ、県道を右に折れると、東京湾の玄関口とも言うべき剱崎(つるぎざき)の灯台がある。地元民は今でも剣崎(けんざき)と呼ぶが、近年になって正しくはツルギザキであることが判明したのだという。困るのは、来訪者である。ツルギザキとケンザキは別物ではなく、同じなのである。

 県道は岬の胴を突っ切るようにして、東京湾に面した金田湾に続く。金田漁港は国道沿いにあって、毎日曜日に朝市が立つ。冬場も夜明け前の6時から始まる朝市は、地元の魚や野菜が並び、たいそう見応えがある。沖合の大型定置網で揚がったスズキなどの魚が、生きたまま叩き売り状態だ。

 興奮さめやらぬまま漁港内の建物の2階へ上がれば、市場食堂「KANEDA」が待っている。
 「シーフードカレー」800円や「サザエ丼」1000円があるなかで、「海かけ丼」1000円って何?
「ワカメの根っこ、メカブをたたいた、山かけならぬ海かけです」  なるほど、マグロの赤身にどろりとメカブがかかるのだから、やはり「海かけ」がふさわしい。どろりとしたひと口は、目覚めたばかりの胃にも難なく流れ込んでいく。早朝から丼メシが食えるのだから、漁港の朝市はおもしろい。

 天然ワカメは年明けに解禁になって、3月までは収穫が続く。朝の金田で元気をもらって、クルマは東京湾屈指の観光ビーチ、三浦海岸を走り抜ける。


navi 「金田朝市」:三浦市南下浦町金田2020の5 金田漁港海業センター 三浦市観光協会「金田朝市」 Tel:046-888-0588
navi 「レストランKANEDA」 Tel:046-886-1721 定休日:不定 営業時間:平日11時半〜15時/18時〜21時 朝市の日曜6時〜20時

■新安浦港(神奈川県横須賀市平成町)
  市場食堂の「握り寿司」は「1」のつく日600円!
  三浦海岸からの海沿いの道は、再び国道134号線に変わり、「野比(のび)」の信号を右へ折れてからは県道212号線となる。やや淋しいが美しい野比海岸を走り過ぎると、東京電力横須賀火力発電所の高い煙突が見えてくる。そこを越えると東京湾フェリーの発着所、久里浜港である。千葉の金谷港までは30分ちょっと。船に乗れば早いが、陸路であそこまで走るのだ。我ながら、物好きなドライブだなぁ。
 久里浜湾を過ぎると、小さな山越えとなって浦賀港に出る。細長い港は、かつては「住友重機械工業浦賀艦船工場」(通称・浦賀ドック)を擁して栄えたが、今は住宅地。対岸までは通称「浦賀の渡し」と呼ばれる連絡船が今も運行、市民の便利な足となっている。
 驚くなかれこの片道2分の航路は横須賀市道2073号線として認定されており、運賃は大人150円で子供と自転車は50円である。クルマでは、ぐるりと廻るしかないが・・。

 浦賀を越えると山道である。「観音崎(かんのんざき)」を過ぎると、国道16号線となり「走水(はしりみず)」に出る。一帯は馬堀(まぼり)海岸で、自然海岸はここで見納め。ここから先はコンクリートの人口護岸が、東京湾の奥まで続くことになる。
 「三春町(みはるちょう)」の信号右折で国道16号を離れ、500mほど走ると「新安浦港前(しんやすうらこうまえ)」の信号がある。右手に道に面して建っているのが、市場食堂「はま蔵」、その奥が「横須賀魚市場」である。

 はま蔵のお薦めは「握り寿司」の850円。これが1の付く日は600円になる! 料理を取りに行くのもお茶を汲むのもセルフサービス。その分が料理に還元される。ネタが日替わりになる「地魚丼」や、単品の「ブリ刺し身」300円などもケースに並ぶ。クルマでなければ、宴会といきたいところだ。

 魚市場のさらに奥は新安浦港。漁師は「猿島ワカメ」の採り入れで忙しそう。
 週末にはここでも、漁協組合の有志によるらしい朝市が催されている。土曜日は朝9時から、日曜は11時半からである。
 小じんまりとしているが、細かな地魚が雑多に並んでいて、いかにも漁師の直売といった趣で楽しくなってしまう。ただし、近頃有名になっているので、朝早く出かけないと品物がなくなる。

 漁港内に潜水服を干している人を見つけ、ちょっとインタビュー。 「東京湾が少しきれいになって、20年ほど前に潜水漁を復活させたんだよ。タイラギは少ないが、ミルクイは獲れているよ」
 次回、旅の続きは、また番外編へ。潜水漁の船に、乗せてもらうことになったよ!


navi 「はま蔵」:横須賀市平成町3の5の1 Tel:046-827-0141 定休日:年末年始 営業時間:6時〜15時/17時〜22時

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