カーAV評論家・会田肇氏が最新のカーナビをムービーで徹底解説。
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    第7話 関東 神奈川県 横須賀〜横浜篇
    都会のすぐ横にある東京湾の漁村風景。

■東京湾は安浦漁港で、潜水漁体験記。
※画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。

map  東京湾を三崎から久里浜・浦賀と北上すると、「安浦漁港」がある。市場食堂「はま蔵」で一息ついたら、しばし港内を散策してみたい。
 灯台方向へ進むと、小さな漁師小屋が建ち並ぶ。早々と陸に上がった漁師が紛れ込んだ素人にいぶかしげな視線を送ってくる。だが、その奥には船宿もあるのだから、ひるむ必要はない。

「こんちわぁーっ」
「あんだぉお今ごろぉ、へぇ釣りの船は帰ぇって来るころだぁよ」

 元気よく声をかければ、ぶっきらぼうだが親しみのこもった方言が返ってくる。
 一仕事を終えたふうの漁師は小松原さんと言った。「潜水漁」という特殊な漁法でミルクイやタイラギなど高級貝を専門に獲っていた。小屋に干された宇宙服のような潜水服といい、鉛の塊のような靴といい、素人にも興味が尽きない。
 ひと休みしたらまた出船すると聞き「お願いします!」と、大胆にも潜水漁に同乗させてもらうことになった。

 漁場は横須賀新港の目の前に見える猿島周辺、水深は約7メーターである。
 潜水服は2人がかりで着せるほどの重装備で、重量なんと60kg。船上とは送気管と送水管とインターホンだけでつながっている。命がけの仕事は相互の信頼が何より大事。潜水漁が親族だけで行なわれる理由はそこにある。言葉ではなく音に感情を込めないと通じない。「アー」は「ガー」になって、危険信号である。

 東京湾のミルクイ漁は、戦後の水質汚染により資源が絶滅して廃業。20年ほど前に小松原さんが試験操業をしたところ、ミルクイの復活が確認された。小松原さんの息子さんも後継者となって、横須賀では唯一の潜水漁師なのだ。

 ミルクイが本ミルと呼ばれるのは、別種のナミガイを白ミルと言うためで、二つは別種である。大きな違いは、味。ミル舌と呼ぶ足の部分まで食べられるのがミルクイ。白ミルはだらしなく伸びた水管だけが可食部。価値に於ける雲泥の差は、お寿司屋さんに行くとわかる。

 海底から網袋に満載されたミルクイが揚がってくる、これで3回目。すでに1時間も潜りっぱなしだが、トイレさえ我慢すれば何時間でも仕事をするんだそうな。
 船上に錆びた包丁を見つけてしまい、もうミルクイを食べてみたいという誘惑に勝てなくなった。大(300グラム)、中(200グラム)と選り分けている中で、放流ものの小を1個いただいてしまった。殻から外して水管の黒皮を剥いでいると、「おめぇ、料理を知ってんなぁ」だって。元料理人が旅をしているのだと説明したら、酔狂モンと笑われてしまった。

 醤油を出してくれたが、船上のミルクイに調味料は潮風だけでいい。こりこりと甘い水管を丸かじりすると、海を食べているような錯覚に陥る。東京湾が、こんなに旨いとは! やたらビールが欲しくなるのは、旨いものを口にしたときの条件反射だ。

 インターホンから終了の声が流れて、潜っていた息子さんが重い装備を纏って水面に顔を出した。3人がかりで脱がし終えてやっと一息、笑顔がこぼれる。 「何ぃ、もう食ってんの? ビール欲しくなるでしょ」  話のわかる2代目が、横須賀中央の「竹寿司」へ行けと教えてくれる。小松原さんが直卸しをしているミルクイが堪能できるそうだ。
 今日は車を置いて、胃袋まで東京湾に浸かってみようか。

「小松原の船に乗ったんかい。貝はもう届いてんよぉ」
 やはり揺れる船上の錆びた包丁と違い、飯台に乗っかったミルクイの造りは立派である。300グラム超えの特大水管は、縦に4等分しても親指ほどの太さがある。根本からこりこりと味わえば、潮の香りがして今日の一日が蘇る。生ビール傍らに至福の時間、やっぱり旨いモンには酒が必要だ。

 東京湾では、ミルクイの他にも「平ら貝」の名で知られる高級貝「タイラギ」も、実は復活している。まだ資源が少なく貴重なのだが、やはり潜水漁で獲ったものが「竹寿司」に並ぶ。財布を再度確認、いってみようじゃないか。ついでにこれも潜水漁で獲ったナマコの腸、コノワタも欲しいなぁ。
 かくして本日は東京湾を満喫。生ビールから焼酎へと移行しても〆て七千円だった。安かったのは、船に乗せてくれた小松原さんへの配慮だったのか。

navi 「竹寿司」:横須賀市若松町1−2 Tel:046-822-1119 定休日:月曜日 営業時間:11時30分〜15時 17時〜22時

■横浜の南端に“小柴のシャコ”を求めて。
 安浦漁港辺りから海岸線は広々と開け、「よこすか海岸通り」となる。片側2車線の直線道路の突き当たりは三笠公園から米軍基地、さらに自衛隊基地と続くので、クルマは国道16号線に出て横須賀の町中を走る以外にない。

 「本町一丁目」の信号は、左に曲がると京浜急行「横須賀中央」駅へと続く商店街。ここは直進。1本左側を平行して走る通りが有名な「どぶ板通り」だ。
 略称「スカジャン」と呼ばれる横須賀ジャンパーや「オイルライター」、「似顔絵肖像画」などを売る店がたち並ぶ。昔は大きな米兵が闊歩していて日本人など怖くて足を踏み入れられない通りだった。今も外人さんは多いとは云え、日本の婦女子も普通にショッピングを楽しんでいる。

 次の信号「本町二丁目」の右側が、米軍横須賀基地の正門である。このあたりはもうビルやら基地やら工場のせいで16号の右手にあるはずの海は見えず、海岸線自体も、軍港や工場、ドッグなどの敷地となっていて、ほとんどが立ち入り禁止だ。

 「本町二丁目」の信号から幾つものトンネルを潜りながら7、8kmも走る。京浜急行「金沢八景駅前」を過ぎた次の信号「瀬戸神社前」を、八景島シーパラダイスを目指すクルマとともに右折する。
 ただし、我々が目指すのは、有名な「小柴のシャコ」だ。

 モノレール「金沢シーサイドライン」の真下を6kmほど走ると、「金沢漁港」の信号があり、その右手が漁港だ。ここで揚がるシャコが「小柴のシャコ」と呼ばれ、江戸前寿司の花形だった。が、近年は絶滅状態で、わずかな数が地元で消費されるだけ。
 そのシャコが日祭日の午後2時半から、漁港内の特設市場で販売されることがある。朝市のように頑張って早起きしていく必要もないので、ドライブがてらちょいと立ち寄ることができる。

 市が立っていてシャコを見つけたら、迷わずに“買い!”である。
 シャコはボイルされて殻も剥いてあるから、そのまま食べられる。獲れたての、釜揚げである。回転寿司にあるような、水気を絞りたくなるような冷凍モンとはワケが違う。
 たっぷりと厚みのある身には甘味があり、エビとは違うザックリとした歯ごたえが楽しめる。こんなのに出会えたら、「シャコは小柴に限る」と納得せずにはいられない。

 運悪く出会えなかったら、「シャコパン」や「アナゴパン」を売るパン屋さん「ブレーメン」を訪ねよう。
 ただ、どこも名物は売り切れが早い。ここは朝7時が開店だが、開店と同時に早々に売り切れになるという。著者も何度か訪ねたが、実はまだ食すことができていない。どなたか食べることができたら、ぜひ感想をお聞かせ願いたい。

 何がどうあってもシャコが食べたければ、隣りの寿司処「かねへい」へ。筆者が行ったときは生憎シャコはなかった。だが、シャコはクルマエビ漁の外道で獲れていたものと聞き、そのクルマエビを握ってもらって昼食とした。東京湾のクルマエビはミルクイに似て、甘い潮の匂いがした。


navi 「ブレーメン」:横浜市金沢区柴町345−86 Tel.045-788-0520 定休日:無休 営業時間:7時〜19時
navi 「寿司処 かねへい」:横浜市金沢区柴町345−79 Tel.045-788-3388 定休日:水曜日 営業時間:11時半〜14時 16時半〜21時

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