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にっぽん漁港紀行
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第11話 関東 千葉県 船橋市〜安房郡鋸南町
内房東京湾岸、獲れたてのアサリ、アナゴに舌鼓。
■ディズニーランドの膝元でアサリの衝動買い。
※画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。
東京都江戸川区から江戸川を超えるとそこは千葉県。市川市を飛び越して船橋市の海岸線に出ると、「ららぽーと」だ「ディズニーランド」だと騒がしい。
だが、船橋漁港はそんなレジャー施設の傍らにあって、スズキやアサリなどの水揚げに大忙し。こんな都心に近い東京湾にも、漁師町は生きていた。
漁港から京葉道路に戻る途中に「船橋名物朝市・船橋湊町卸小売市場」なる建物を発見。覗いてみると、意外や船橋漁港で水揚げされたと思しき魚介類が並んでいて目を丸くするが、旅人には無理な買い物で、近くの「船橋橋」のたもとに見つけた小さな露店らしきに向かって歩く。
そこは小さいながらも魚屋で、捕れたばかりのアサリやハマグリを計り売りしているのだった。これもどうするという当てもないのに、ついアサリの小袋を300円で買ってしまう。だが、そのせいか「千葉に来たぁ〜っ」という実感が沸き、独りクルマ旅も一段と楽しくなるのだった。
「船橋湊町卸小売市場」:千葉県船橋市湊町1-11
※電話番号・営業時間・定休日等は店舗によって異なる
■木更津の一杯飲み屋、アナゴ白焼き400円に感動。
その後、海岸線は工業地帯に入り、千葉市、市原市を抜け、袖ヶ浦市を過ぎるまで海が見えない悶々としたドライブが続く。隙あらば海岸線に出ようと四苦八苦していると、やがて前方に東京湾アクアラインが見えてきた。木更津市の牛込漁港は眼前にアクアラインを望む広大な新港湾設備の片隅にあり、バカガイ(アオヤギ)の水揚げ真っ最中だった。
だがその直後、旧港を見つけて言葉を失った。そこは関係者以外立ち入り禁止、もちろん「不法投棄厳禁」の立て看板がありながら、冷蔵庫からソファー、軽トラックまでが打ち捨てられたゴミ山の海岸だった。
真新しい港湾施設とアクアライン、そのすぐそばのゴミ山海岸。どこかで我々は何か重要なことに目をつぶってしまったのではないか…、悲しい気持ちは、旅の前進を拒む。
木更津はJR駅の東(山側)に宿をとり、黄昏どきの矢那川沿いをぶらりと歩く。川沿いはどこも、のんびりとした空気に怪しげな風が入り交じる。
青やピンクの看板を横目に歩いていると、気になる店を発見。タバコ屋のような駄菓子屋のような店に『明らかに酒を求める男たち』が入っていく。前に立てば暖簾がかかっていて「お食事処・たばこ・茶花屋」とある。
迷うことなく戸を引き開ければ、そこは3坪ほどの客席。婆さんがコップ酒をすすっていたり、力仕事を終えた男たちが焼酎割りを飲んでいる。
よそ者は素早くビールを頼み、品書きを眺める。「ネズッポの天ぷら400円」「アナゴの白焼き400円」を元気よく注文すれば、厨房奥から姉さんの返事も威勢がいい。
見よ! この天ぷらと白焼きを!
ネズッポ天はサクッとして柔らかく、天つゆのほかに塩が盛られているのも嬉しい。つい数えてしまうが、4本ということは1本100円だよ。
アナゴ白焼きは3本。小型の俗にいう鉛筆サイズは、江戸前寿司の人気ネタだ。尻尾のあたりをカリッと噛んで、脂ののった腹身に移るともうビールの勢いが止まらない。
すっかり気分が和むと、わがままの出るのが悪いクセ。船橋で買ったアサリを取り出し、味噌汁を作ってはもらえまいかとお願いすれば、二つ返事で作ってくれるじゃないか。
あぁ千葉のアサリ汁は温かい…、一口をじっくり味わって、記念撮影は厨房に向かってパチリ! 改めて見る「品書き」のスバラシさに、旅の鋭気を挽回する。
「茶花屋」:千葉県木更津市富士見2丁目5-38 Tel:0438-22-3801
営業時間:午前8時〜午後9時 定休日:日曜日・祭日
■富津でまたしてもアナゴに感動!
翌日。木更津市から君津市を抜ける国道16号も海岸線は工業地帯で隔てられ、富津岬手前でやっと懐かしい海が見えてきた。
国道から海岸道に入ると一帯は富津漁港。港に面した直線通りには「アナゴ丼」やら「ハカリメ丼」などの昇り旗が連なる。富津はアナゴで知られる漁師町であり、ハカリメとはマアナゴにある白点を「計り目」に例えた、富津独特の呼び名だ。
そうとわかると昼時でもあり、急に腹が減ってきた。
富津漁業協同組合のはす向かいにある「山清」の暖簾に感ずるものがあり、海に面した大駐車場にクルマを停めて店の中へ(富津2)。
予感は大当たりで漁を終えた海の男たちが、すでに大宴会。旨そうに食べるテーブルを覗かせてもらえば大アナゴ3本の煮アナゴ! 嬉しくなって品書きを見つめていると、「兄ちゃん、ここのアナゴ天丼を食わにゃあ」。やっぱりなぁ。待つことしばし。出てきたそれを見て、うぉぉおお〜っ!!。
30cmを超える大アナゴ天が2本、黄金色になって丼からはみ出している。聞けば店の父ちゃんがアナゴ漁師で、朝捕ってきたものを自ら包丁で割いて揚げているんだと…。
母ちゃんが言うには「90まで、稼いでもらわにゃ」だって。
皆の笑い声に包まれながら、大アナゴ天に頭のあたりから食らいつく。ふぁっとしてさくっとして柔らかく、アナゴを噛み切ると白い湯気が香りとともに立ち上る。
ゴマ油の匂いがしないのはなぜ? 父ちゃん曰く、「オレの胃袋が、上質なサラダ油だけじゃないとダメなんだよ」。
テーブルには「天然塩」と「天つゆ」が置かれていて、天丼に天つゆはかかっていない。お好きにどうぞということで、この気遣いもよかった。アナゴ天丼、価値ある1200円。
「山清(やませい)」:千葉県富津市富津2665 Tel:0439-88-2201
営業時間:朝8時半〜夕方4時 不定休
■堤防釣りの外道、ヒイラギは干物で食べるのか!
国道16号線は富津岬の根元で終点となり、その先は国道465号、127号と乗り継いでさらに南下を続ける。127号は富津市上総湊を過ぎたあたりで海沿いに出る。そこからは三浦半島の「久里浜」とここ房総「浜金谷」を結ぶ連絡船「東京湾フェリー」がゆったりと浦賀水道を行き交うのが見える。
その「浜金谷」の手前に漁師料理「かなや」、向こう側に保田漁協直営の食事処「ばんや」がある。どちらも似たような店構えで同じ海沿いにあるのだが、まずは「かなや」へ入ってみた。
刺し身定食「かなや盛り」1300円で、カンパチ・イナダ・メダイ・活アジ・カツオの5種が手頃な量で盛られている。味は特筆するほどのことはなかったが、アジの「水なます」680円や「贅沢なめろう」730円など、漁師料理メニューがあるのは硬派にはおもしろい。
土産物屋がひしめく「浜金谷」フェリー発着所を通り過ぎると、ほどなく保田漁港。「ばんや」の昇り旗が海風にはためいている。さすが漁協直営の広大な駐車スペース、漁師が直接売っている魚介類の売店などが並んでいる。
店内に入るとまずその広さに、初めての客人はびっくりする。品書きが所狭しと垂れ下がり、注文を迷いながら隣をのぞき見ると「イカかき揚げ丼」800円は、びっくり仰天の大盛り。
ここはさっぱりと煮魚でいこうと決め、「キンメの煮付け」1300円を注文すれば、これも30cmもある1匹付けじゃないか!。さっぱりとした味付けで、キンメダイの甘い脂も心地よく腹に収まった。
店を出て露店を散策すれば、ヒイラギの干物まで売っている。千葉では「ギラ」というようで1袋500円。おもしろくなってきて1袋を買えば、オバチャン手づかみで幾つもおまけしてくれたよ。
漁師料理「かなや」:千葉県富津市金谷字九真525-17 Tel:0439-69-8101
営業時間:平日・午前10時〜午後6時 土日祭日・午前9時〜午後7時 年中無休
食事処「ばんや」:千葉県安房郡鋸南町吉浜99-5 Tel:0470-55-4844
営業時間:平日・午前10時〜午後6時 土日祭日・午前9時半〜午後7時 定休日:火曜日(祭日は営業)
※メニューの価格は毎日変動する
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