カーAV評論家・会田肇氏が最新のカーナビをムービーで徹底解説。
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    第12話 関西 兵庫県姫路市 家島諸島
    瀬戸内の小島の漁港で買ったシャコ、これに勝る“旨いモン”なし!

■姫路港から坊勢島へ、25分のプチ船旅。
※画像をクリックすると拡大画像とキャプションがご覧になれます。

map  もとより気ままなぶらり旅。久しぶりの冬らしい冬に震え上がる東京湾を後に、いきなり旅は瀬戸内海の播磨灘に飛ぶ。出発点としては姫路港を選んだ。
 なぜ姫路なのか、それはつまり、沖合に見える「家島諸島」の1つ「坊勢島(ぼうぜじま)」に行きたかったから。

 瀬戸内海に浮かぶ数ある島の中でも「淡路島」「小豆島」は島というよりは都市。対して、家島群島は主なる4島を中心に47の小島からなる、まさに諸島である。そうした小島の漁師町にこそ、旨いものは息づいているものなのだ。

 姫路港はもっと大きいのかと思っていたら、意外やこぢんまりと静か。入り江のような川沿いが漁師港で、突き当たりが連絡船の発着所だ。1泊2000円の広い駐車場があり、釣り人などはここに車を入れてそれぞれ島へ渡る。

 「高福ライナー」を高速フェリーと読み違え、坊勢島行きの「ラピート桂」の名にそこはかとない夢を感じつつ安っぽい桟橋を渡ると、“ライナー”とは名ばかりの、漁船と見間違えるような「渡し船」であった。客室は20名ほどで満員で、よそ者は後部デッキに立つことに。聞けば片道25分の船旅。潮風に当たり、瀬戸内の名もない島々も見つめたい。

navi 「有限会社高福ライナー」:兵庫県姫路市飾磨区須加301(姫路ポートセンタービル) Tel:0792-33-8373


■本当のシャコの旨さを知らなかった…。
 坊勢島の発着所もまた、田舎漁港の片隅にあった。降り立つのは姫路から帰ってきた地元人と、釣り人しかいない。何を釣りにきたのかと聞けば、チヌやぁ、の答えが返ってきた。チヌとは、クロダイのことである。

 発着所で簡単な地図をもらい、近くの「長井漁港」に行ってみる。昼下がりの漁港に活気など期待していなかったが、どうも様子がおかしい。買い物かごを持った奥さんたちが、桟橋を渡って港内に浮く漁協建物へと入っていくのだ。そこは魚市場にもなっていて、横付けされた漁船から魚がせわしなく水揚げされていた。もちろん、それらを誰でも自由に買えるのだ。

 このへんでは刺し網漁船はワタリガニを専門に捕るのだが、底引き網は小さなヒイカやスミイカ、マアジやエビまで何でもござれ。これらを漁師はたった一人で、操船しながら捕ってくるというのだから驚きだ。

 床に積まれたシャコは選別されて、死にそうなものはそのまま海へと捨てられる。クルマエビに似た「アカアシ」というエビは、皮を剥いて食べるとすこぶる旨い。シャコもアカアシも1kgほどずつそれぞれ1000円で買った。今晩の民宿が楽しみだ。

「シャコの食い方は知ってんのかいなぁ」
 といぶかしげに旅人を見つめていた漁協職員らしき人が、どうやらわざわざ家でシャコを湯がいてきてくれたようだ。運転席のダッシュボードに転がった茹でたシャコを、地元漁師が食ってみろと笑いかける。シャコの味を知らない素人だと思われたのか、地のシャコの味を自慢したいのか。

 調理バサミ無しで甲羅を剥がすと、旨そうな汁が流れ出てくる。思わず口をもっていき、殻をはがしながら汁をすする。ほんのりと暖かさが残るシャコの甘味は、今まで食べたどのシャコとも比べものにならない。

 この海で捕られ、漁師家の台所で茹でられてここにある。地元の皆に見つめられながら、「確かにシャコの味を知らなかった」と降参。旨ぁ〜い!

 長旅の夜は、早々に民宿で一息つきたい。播磨灘を臨む漁師民宿「みなと旅館」で、買い求めたばかりのシャコとアカアシも茹でてもらう。こんな我が儘が笑顔で通るのも、島ならではかも…としばし旅情に浸る。
 ところが、瀬戸内の離島の漁師民宿の料理はすごい! スズキのムニエルにマダイとブリの刺し身、マアジの煮物…と次から次へと食卓に並んでいく。こりゃ食いきれないと思いきや、追い打ちをかけるようにシャコとアカアシがドッカーン!である。

 だが、ここで告白しておく。どんなに飾られた料理よりも、漁港で買ってきたシャコとアカアシが旨かった。物も言わずに、ビールもそこそこに、ただシャブシャブチュパチュパとむしゃぶりつく音だけが広い座敷に響いていた。

navi 「長井漁港(坊勢漁業協同組合)」:兵庫県姫路市飾磨郡家島町坊勢697番地 Tel:07932-6-0231
組合営業時間:月〜土 午前8時〜午後5時 定休日:日祭日

坊勢漁協ホームページ http://www.jf-net.ne.jp/hgbozegyokyo/

navi 「みなと旅館」:兵庫県飾磨郡家島町坊勢42番地 Tel:07932-6-0114


■昼飯の食えない島を後に姫路へ戻る船に。
 翌日は播磨灘を一望する高台に登った。左手にかすむ淡路島と右前方にある小豆島に、改めて瀬戸内海を実感する。
 昼飯を、と島内を巡るも、ここは離島。観光シーズン以外はどこも休業のようで、予約した民宿だけで飯が食える仕組みになっていた。離島だけを巡る船の八百屋と萬話をして時間をつぶし、姫路へ戻ることにした。

 小さな島の漁港で思いがけずに買ったシャコとアカアシの甘い香りを記憶に刻みつつ、次は備前から岡山に向かう。瀬戸内の底知れぬ豊かな海に、期待は膨らむばかり。「ラピート桂」に乗り込めば、昨日の釣り人もいるじゃないか。
「夜通しですよ。まぁ、大チヌ8枚ばかし…」
 釣り人も、大漁である。


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