| 第15話 紀伊半島編 東海 愛知県桑名市〜三重県鳥羽市 |
| 焼いて、煮て、揚げて…どうやって食べても美味い桑名の地ハマ! |
夏が旬の「岩ガキ」が食いたくなって、急遽東京から紀伊半島を目指す。同行者は食いしん坊の友人、A氏。愛車の日産ADバンは古いながらもさすがにデリバリーカー、荷物を雑多に放り込むには都合がいい。 東名高速は豊田JCTから伊勢湾岸自動車道に入り10kmほど走った頃、行く手に観覧車が見えてきた。なんとその観覧車は高速道路のパーキングエリア、刈谷PA内にあった! 施設名は「刈谷ハイウエイオアシス」とあり、豪華トイレ(通称・デラトレ)や温泉まであるのだった。びっくりするのは、まだ早い。飯を食う前に地階をのぞき見れば、そこは大スーパーマーケットである。その鮮魚コーナーが、またすごいことになっていた。地元、南知多半島の獲れたて鮮魚を、なんと箱ごと売っているよ! スルメイカやマアジなどが、1ケース600円だって!? 一般道からも入れると聞けば、なるほど納得だ。 http://www.kariya-oasis.com/
名古屋を抜けると高速道の左手にはいよいよ伊勢湾が広がり、表示板には桑名の文字が見えてくる。「その手は食わなの焼きハマグリだよなぁ、食っていくかい」 急ぐ旅でもなければ伊勢湾岸自動車道を「湾岸桑名」降りて、一般道を5kmほど走り桑名港へと向かう。もとより大きいとは思っていなかったが、桑名の赤須賀港は予想以上に小さく、霧にけむっていた。 漁船のほとんどは貝掘り専門で、漁港付近一帯は木曽川・長良川・揖斐川が運ぶ山砂がハマグリを育てているのだ。 街中の魚屋も、やはりハマグリが目玉商品だ。「貝増商店」には「送り」と「地ハマ」があって、違いを聞くと「送り」とは朝鮮半島からの輸入物で、「地ハマ」との値段差はごらんの通り。500グラムで650円の送りが、桑名産となれば1650円(地ハマの値段は大きさや日々の相場によっても異なるので要確認)! 地ハマが食いたいなぁ…振り向けば魚屋のとなりが食堂になっていた。 食堂「魚力(うおりき)」の品書きを見上げて、まずは「焼蛤」2個で500円を注文。小ぶりだからとガッカリするなかれ。地ハマの貝殻は予想以上に薄く、その分、身がぎっしりと詰まっているのだ。 1個口に入れれば、今までのハマグリは何だったのかと思うはず。濃厚なエキスは怪しい甘味で、熱々にして半煮えのような「生っぽさ」がたまらない。 「ビール!」 叫んだが勝ちで、運転はここで交代。さらに「焼蛤」を追加。「串蛤」は煮ハマグリで1本200円と聞き、これも注文。赤だしの味噌煮がまた新鮮な味わいで、串から抜いてハマグリ型の器に置けば、もったいないほどビールが旨い。聞けば名物の「しぐれ煮」と同じ味付けなのだとか。A氏は「串蛤フライ」1本200円を注文。ハマグリって、こんなに旨かったかぁ? 「食堂のハマグリは、みんな地ものだけなんですよ」 なるほど、得てして大したことのない“名物”にも「旨いもの」はあった。大正解の寄り道に大満足して店を出ると、看板の表に「その手は食わなの焼蛤」、裏側には「桑名の殿さん志ぐれで茶々漬け」とあった。 営業時間:午前8時30分〜午後6時30分 定休日:なし
桑名ICから50km弱、亀山市で東名阪自動車道から伊勢自動車道に乗り継ぐ。さらに伊勢道、伊勢二見鳥羽ライン、国道42号と計100km以上をひたすら走って鳥羽漁港を目指した。あてがあったのではなく、大きそうな港へ行けば何とかなると思っただけだった。すでに夕方にして宿も決まっていないのだ。 鳥羽港はやはり大きな港で、フェリーやら連絡船の基地にもなっているようだ。考えて見れば志摩半島は海岸線は複雑だし、大小の島々も数え切れないほどあるはず。 予備知識も計画もなしに鳥羽までは来てしまったが、もはや後戻りはできない。港内の大駐車場に車を止めて、どうしたものかと思案にくれる。 今日はまだ飯を食ってないことに気づき、それらしき店を探せば駐車場の真ん前に「はま浪」はあった。観光地でよく見かける土産物屋かと思っていたら、地元民であろう酔客がぞろぞろと出てくるのだ。その暖簾を恐る恐るくぐると、なぁんだ、土産物屋ではなく定食屋、というより一杯飲み屋じゃないか。 迷わず店内に入れば、品書きに「ニタリ貝焼き」とある。A氏曰く「昔、銀座のショーケースに飾って、わいせつ物陳列罪で店主がパクられたってヤツじゃないの?」 それを注文すれば、常連らしき客の密やかではあるが猥褻なニタリ声が聞こえる。 「イノガイ言うてのぉ、丁寧にも“ケ”まで生えてんのじゃ」 コリコリとしたヒモ辺りを噛みしめて、思えば遠くへ来たもんだ。 食堂「はま浪」は海女組合直営店で、店主の80歳に近いオバチャンも現役の海女だという。のんびりと次は何を食ぉうかと品書きを見上げていると、客が一斉に桟橋へと走っていく。何事かと思いきや、「答志島」行きの最終便が出るのだと言う。「鳥羽より、よっぽどおもしろいぞ!」 の声に、我々も箸を投げ出した。島行きなら、クルマは駐車場に入れっぱなしでよし。とりあえずの荷物だけをかついで、走った走った。 答志島(としじま)まで大人片道530円のチケットを買い、通学の高校生や買い物人らと生活臭のしみ込んだ客席に潜り込む。 「ところで、答志島って何だ?」 「…わからん。」 オレたちはこれからどうなるのだろう。宿も決めずに、見知らぬ島へ渡ろうとしている。伊勢湾の青い海と、無数に浮かぶ島々が「哀れみの目」で見送っているかのようでもあった。 営業時間:朝11時〜夜8時 定休日:無し |














